週刊九月読書(1)

■見えないグリーン(1977)
ジョン・スラデック(訳)真野明裕/ハヤカワ文庫HM 382ページ
【紹介文】ミステリ好きの集まり<素人探偵会>が35年ぶりに再会を期した途端、メンバーのひとりである老人が不審な死を遂げた。現場はトイレという密室――名探偵サッカレイ・フィンの推理を嘲笑うかのように、姿なき殺人鬼がメンバーたちを次々と襲う。あらゆるジャンルとタブーを超越したSF・ミステリ界随一の奇才が密室不可能犯罪に真っ向勝負! 本格ファンをうならせる奇想天外なトリックとは?解説:鮎川哲也法月綸太郎
◆スロー・ラーナー(1984,1959-64)
トマス・ピンチョン(訳)志村正雄/ちくま文庫 302ページ
【紹介文】『重力の虹』など、現代アメリカ文学史上に聳える3つの傑作長編を発表後、十余年の沈黙の後に、天才作家自身がまとめた初期短篇集。「謎の巨匠」と呼ばれてきたピンチョンが自らの作家生活を回顧する序文を付した話題作。ポップ・カルチャーと熱力学、情報理論とスパイ小説が交錯する、楽しく驚異にみちた世界。
■魔法(1984,1985)
クリストファー・プリースト(訳)古沢嘉通/ハヤカワ文庫FT 526ページ
【紹介文】爆弾テロに巻きこまれ、記憶を失った報道カメラマンのグレイ。彼のもとへ、かつての恋人を名乗るスーザンが訪ねてきた。彼女との再会をきっかけに、グレイは除々に記憶を取り戻したかに思われたのかだが……南仏とイギリスを舞台に展開するラブ・ストーリーは、穏やかな幕開けから一転、読者の眼前にめくるめく驚愕の異世界を現出させる! 奇才プリーストが語り(=騙り)の技巧を遺憾なく発揮して描いた珠玉の幻想小説
■星々からの歌(1980)
◎ノーマン・スピンラッド(訳)宇佐川晶子/ハヤカワ文庫SF 431ページ
【紹介文】よく晴れた黄金の午後、クリア・ブルー・ルーはイーグルを飛ばしてラ・ミラージュへと急いでいた。かの地で、かつて地球に<大壊滅>をもたらし、今は“黒い科学”の筆頭にあげられる原子力を用いた機械が発見されたというのだ。“太陽と筋肉と風と水の掟”を指針とし、自然と共存するコミューンに“黒い科学”がしのびよっている! この事件に裁定を下すべく呼ばれたルーだったが、ひとりの女との出会いが自分の運命を大きく変え、やがては謎にみちた<星々からの歌>を聞くことになるとは夢にも思わなかった……米SF界きっての異能作家が、華麗な筆致で描く未来絵巻!