2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

秘密の風呂あがりの話

風呂あがりに、全裸のまま、ややテンションの高いとき、ものすごい小声で「ほぉああぁぁぁ」「ふぅぅいいゃぁぁぁ」などと発し手足を無駄にゆっくりでたらめに動かす『オリジナル太極拳』ごっこを俺がしていることを見た者はいないはずだ。

秘密の実家の月の話

実家に帰り、家に自分しかおらず、あまりにも暇かつややテンションの高いとき、廊下やら居間を無駄にゆっくりふわふわ歩く『月面歩行する宇宙飛行士』ごっこを俺がしていることを見た者はいないはずだ。

名文機構4

愛知県出身のSさんはアパートから電車で十分ほどの距離の大学の卒業生で、就職をしないで毎日、アパート前の細長い庭をぶらぶらしていた関係上、同様の境遇の自分と顔を合わすことが多かった。Sさんは、その基本的な外見はブルース・リーであり、鉄亜鈴、…

名文機構3

「そうだな、わかるはずがない。あまりにも奇妙なことだからな。おれがその通路の奥まで行きつく前に、パンがひとつ弾けるみたいに棚から床に落ちたんだ。誰も触ってない。パンがアコーディオンの蛇腹みたいに膨らんだかと思うと、ポンと下に落ちたんだ。お…

名文機構2

「誰しもいうことだが、初めてシュウ・クリームを喰った時の驚異というものは、震天動地的なものである。こんなウマイものが世の中にあるかと思う。羊羹、最中、饅頭のたぐいは、弊履の如く、蹴飛ばしたくなる」 これは獅子文六氏が十歳まで居住していた横浜…