ケディネーの誤算

ケディネーのこれまでの生涯は忍耐の生涯と言える。そしてケディネーは今も耐えていた。バックシートの下で身を縮め震えながら!金曜の夜に始まったドライブは月曜の明け方になってもまだ続いていた。その間ケディネーは雨が降り食事もとれず、そのため寒さと空腹により一睡もできなかった。この時ケディネーの体温はわずか33℃しかなかった。リカーンとアメリカの二人は揃って立派な気違いだった。リカーン曰く「人間は生きている間、常に動いていなければならない。停滞は死だ」その言葉を受けてアメリカ「ムーヴ!ライフ!」目的地もなくドライブは続いた。半径40キロの円内部を真っ赤なオープンカーは無闇に走り回った。制限速度を厳守しながら!それは正に純粋ドライブと言えた。ドライブの間二人はドライブスルーでハンバーガーや焼きおにぎりを食べたがケディネーはナタを握ってじっとしていた。ケディネーの計画は、二人が目的の場所に着いたらナタで脅し…後はその場の気分で…みたいな曖昧な計画だった。ケディネーは計画を立てるのが好きだっ
た。それこそ三度の飯よりも!しかし今の状況ではそうも言っていられなかった。金曜の夕方、メロンを半分食べて以来何も口にしていないのだ。つまり六食もメロンを抜いているのだ!月曜の明け方、車は立派な石工扮する地蔵の前を通り、畑にそびえる空中ブランコを横目に朝日を浴びていた。するとリカーン「そろそろ帰ろうか」アメリカ「ゴーホーム」こうしてリカーンは一睡もせずに走り続けアメリカはほとんど寝て過ごしたドライブを二人は満喫した。自宅ガレージに車を停め「また来週もドライブに行こうか」「イエス!」こうして二人は翌週もドライブに出かけた。自宅のベッドで重度の肺炎に苦しむケディネーなどつゆ知らずに!