死沢家の人々

「母さん、夕食の準備が出来ましたよ」「死雄!?死雄なのかい!?死彦や!死雄が帰ってきたよ!死んだとばかり思っていた死雄が!」「母さん、僕が死彦です。死雄は死んだんです。さ、夕食の用意が出来ましたよ」「死雄が、死んだ…」母は死雄が死んでからというもの、死雄の幻影と私を重ね、半ば白痴として数年を過ごしてきた。母は子供の頃から死雄を溺愛し、前夫の子供である私は蔑ろにされてきた。しかし、数年前に第二の夫である死久を亡くし、たて続けに最愛の死雄が死んでからというもの、母は全てに気力を失ったまま母子二人暮らしの生活が続いている。私は死雄を呪わしく思う。死雄が死んだ事により母も母として死に、同時に私の未来も死んだ。死雄の死によって私は母を支えるため大学を辞め働かねばならず医師の道も閉ざされた。私は何度も死のうと思った。母を残す後ろめたさはあったがそれでも死ねなかった。一度は高層マンションの踊り場から飛び降りもしたがそれでも死ねなかった。いや、正確には死ぬ事が出来なかった。それは私の忌まわしい
血縁に由来する。そう、私は不死村の血筋なのだ…!!