攻沢家の人々

「母さん、夕食の準備が出来ましたよ」「攻雄(セメオ)!?攻雄なのかい!?攻彦(セメヒコ)や!攻雄が帰ってきたよ!死んだとばかり思っていた攻雄が!」「母さん、僕が攻彦です。攻雄は死んだんです。さ、夕食の用意が出来ましたよ」「攻雄が、死んだ…」母は攻雄が死んでからというもの、攻雄の幻影と私を重ね、半ば白痴として数年を過ごしてきた。母は子供の頃から攻雄を溺愛し、前夫の子供である私は蔑ろにされてきた。しかし、数年前に第二の夫である攻久(セメヒサ)を亡くし、たて続けに最愛の攻雄が死んでからというもの母は全てに気力を失い、これまで母子二人暮らしの生活が続いている。ときどきバーベキューをやったりする。