断崖のポーニィ

人類最初の職業は便乗だと言われている。始まりは便乗であって何に便乗したかはこのさい問題ではない。次に弁護士という職業が生まれた。便乗商法を訴えた人間が弁護士となった事は自然の成り行きといえる。有史以来現在まで歴史は便乗便乗の繰り返しであり便乗が歴史に付随侵食し歴史を新たに塗り重ねて今日に至るわけだが、便乗はその歴史の中で常に最前にあったわけではない。先駆者あってこその便乗であり時にパロディだオマージュだと揶揄される事もしばしばだが便乗は常に焼き直し二番煎じという負の檻の虜となっている現代人には想像も及ぶまいが、最初に便乗があったのだ。いわば純便乗に便乗した形を現代では便乗と捉え便乗を悪とみなし駆逐する向きが強いが、それは過去の模倣にしか過ぎず初期の便乗とは似ても似つかない。模倣と便乗は完全に異なり、偉大なる便乗は独立一歩手前のぎりぎりのパクリと言えなくもないが親愛なる便乗は孤高かつ尊大のいわば一つの思想とよばれるべきで便乗なくしては過去と未来を同時に失う事となりその損失は計り知れず許さ
れるはずもない。前置きが長くなったが先人達の膨大かつ絶大なる便乗の掟にしたがいこのたび私もその芳醇たる便乗に身を委ねる次第である。それで『断崖のポーニィ』である。疲れたので本編は次回。悪文です。