怪力翁の町長戦

数年前、怪力翁が町長戦に出馬した。この出来事に町はにわかに活気づいた。そして怪力翁と並びもう一人、新人が出馬した。その時点では全く無名だったが、町民は選挙熱に沸き狂った。もともと発狂願望のある町民はこの町長戦を口実に完全発狂し、町の犯罪率は前年比1060%にもなった。そんな怪力翁が掲げたスローガンはこうだ『パワーで変わる、パワーで変える!』。しかし現町長は高い支持率を誇っており、再当選確実と目されていた。そこで翁は一軒一軒家々を回り、お得意の怪力誇示をした。そんな翁を町民達は「すごい怪力だが、バカだ」と噂し、結果得票にはつながらなかった。それでも翁は身を粉にし、黙々と怪力誇示を続けた。そして謎の新人は密やかに謎の選挙活動をし、謎の支持率を高めていた。改行。いよいよ開票日、怪力翁は特大の鉄製片目ダルマを用意し、ダンベル片手に胸を高鳴らせ開票結果を待っていた。そして開票。怪力翁は町民の0.07%の支持を得、落選した。結果に不満を抱き逆上した翁は、片目の鉄製ダルマの白眼に正拳突きで穴を開
け、ふて腐れて帰った(後にこの行動は『正拳』を『政権』、『突き』を『就き』に掛けた、当選時のパフォーマンスとして用意していた事が本人の口から明らかになる)。町長戦は現町長の圧勝に思われたが、結果は意外にも僅かな差で謎の新人の当選となった。その新町長は就任演説で好物をくちゃくちゃ食しながらこう語った。「ありがとうございます。私、『ドライマンゴー・貪り食い雄』は…」これが、数年前のD.M.M.K.の姿である。