電脳暖炉

暖炉の男の噂によると、先月いちばん面白かった本は『キャッチワールド』だそうです。
男は、見終えたレンタルDVD(9巻)を暖炉に投げ込もうと身構え、暖炉に視線を移すと、驚愕した。「…なんだか、煙が多いな」煙?いや、違う。なにやら暖炉の周囲に靄がかかり、ぼんやり霞んでいる。「霧だわ…」すると男は薪を手に取り、マジックで『電脳コイル』(星雲賞受賞)と殴り書くと、暖炉めがけて全力で投薪した。しかし薪は暖炉の境界に入るや否や、忽然と消失した。「古い空間なんだわ…」そういう話。