夢の話

去年、SF小説を貪るように読んでた時に見た夢の話。 昼間、家から遠い知らない街[なぜか銀座だった、と夢が覚めてから思った。ちなみに銀座を歩いた経験はない]の歩道をぶらぶら歩いている。なんかの買いもの帰りらしく片手に紙袋を持っている。紙袋の中身は不明。すると路傍に大量の本が捨てられている。近づいて見てみるとすべてがSF小説やSF関連の本。即座にテンションが沸点に達する俺。通行人の視線もかまわず本を漁りはじめる俺。読みたかった本、おそらく絶版の本(創元推理文庫SFマークとか)、サンリオSF文庫などが無造作に積み上げてある。すげえすげえと興奮しまくる俺。だがほとんどは作家もタイトルも知らない本ばかり。持って帰るにも紙袋ひとつしかない[紙袋の中身は不明だが、中身は置いていくつもりでいる]。「このチャンスを逃せば一生手に入らないかも」「価値があるのはどれか?」「この本は珍しそうだが…わからん」「とりあえずサンリオは確保すべきか?いやサンリオだけで
も紙袋の限界以上ある」「これは読みたいが、急ぐ必要があるのか?」「改訂新版が出てるかもしれない」「なんかブックオフで見た…ような気がする」と悩み葛藤する。詳しい知識もなくあやふやな勘を頼りにするが、どれを持って帰るかぜんぜん決まらない。とりあえず一服して冷静になろう、という考えも浮かばないぐらい真剣に悩む。ああどうしようどうしよういっそ宅急便で全部送っちまうかでも郵便局どこにあるか分かんねえしちょっと目を離した隙に飢えたSFマニアが通るかもしんねえしと考え軽くパニック。そこへ雨がぽつっぽつっと降ってきて、いきなりゲリラ豪雨。うわぁーーーーー!!うわぁーーーーーどーしよどーしよどーしよどーしよ!!本が濡れるゥーーーーー!!ほっほっ本が濡れてゆくゥゥゥーーーーー!!はヒィィーーーーーッ!!わっワシの宝がァァァーーーーー!!はっはっ、はヒィィーーーーーッ!!わっ、わっ、ワシのめっけた宝の山がァァァーーーーーーーーーー
と思ったところで目が覚めた。起きたあと「なんだ夢か/夢でよかった」が半々ぐらいの複雑な気分だった。フロイトユングも知らないが、この夢は当時の俺の心境を見事に反映していると思う。 終

夢とは関係ないエピローグ:ふたりの巡査が早朝のパトロールをしている。「いやぁ〜先輩、昨日はすごいゲリラ豪雨でやんしたね〜」「ああ。夜中にもずいぶん降ったな」「…あれ?あそこに何かあるでやんすよ先輩」ふたりの巡査は駆け寄った。そこには一人の強欲ジジイが、雨でぐじゃぐじゃになった本の山に覆いかぶさるようにして死んでいた。「この強欲ジジイ、よっぽどこの本を守ろうと思ったんでやんしょうな〜。きっとすごく重要な本だったんでやんしょうな〜」「おまえの洞察力はちょっと鋭いが、違うな」「ど、どうゆう事でやんす!?」「ゴミさ。ジジイも本もな」
[タイトル:雨量451ミリ]