どのセーラー乳が?

「おまえ、セーラームーンを知っているか?」
「ああ、知っているとも。黄色い人、赤い人、青い人、あとちっちゃいピンクの人」
「ちびウサ、だな」
「ちびウサ、か。で、誰のおっぱいが一番やわらかいんだい?」
「知らねーよ!自分で調べろ!」
彼は、調べた。あらゆる余暇を費やし、こつこつと地道に聞き込みや現地調査し、数学、地学、言語学統計学、科学、力学、医学、経済学、心理学、帝王学、法学、哲学、神学、その他いろいろ学、あらゆる学を学び学び、『どのセーラー乳(ぢち)が最も柔らかなのか?』を経緯、グラフ、イラスト、詩、模写、ポートレートクレイアニメ、しょうもないエッセイ、単調なコマ割りの漫画などを含んだ4800枚ジャストぴったりの論文にまとめ、他人名義で推薦状を書き、N学会に送った。一世紀まるまると四半世紀とちょっとを費やし完成した論文だった。しかしこの時、彼の年齢はすでに190歳をこえており、当然ながら世間にセーラームーンを知る者もあまりいなかった。だが二年後、学会から結果が届いた。そこには
ノーベル賞受賞
とあった。前年から新設された『ノーベル柔らかパイオツ部門』での受賞だった。彼は涙した。そして死んだ。死因は『爆裂老衰』であった。その死に顔は満足気だった。なぜ満足気だったかと言うと、その日の昼食が彼の好物、あんかけ皿うどんだったからであった。だが実際はあんかけ皿うどんではなかった。彼の吐いた大量の痰であった。