砲一

砲一には耳がなかった。毎週末ごとに来る鬼に喰われてしまったのだ。お経を書き忘れて。今週も鬼は来る。今日くる。砲一は全裸になると全身に経を書いた。鏡を使って背中やケツ穴にまで書いた。これでよし。お経があれば鬼に砲一の姿は見えない。半刻ほど捜しまわった末、鬼は諦めて帰るだろう。砲一は座して待った。するとほどなくして鬼が来た。砲一を捜している。だが見つからない。砲一はにやりとした。にやりとすると同時に興奮してきた。そして勃起。なぜこんなときに。理由は緊張によるものだった。だがなにも心配ない。鬼には見えていないのだから。鬼は砲一の周囲をうろうろしている。はやく帰れ。緊張が高まってきた。同時に砲一の陽物も徐々に堅く。ずるり。ぐ。陽物に微かな痛み。これはいったい。陽物に目をやる。激しい勃起のあまり、砲一の仮性包茎の皮がめくれたのだ。ああ。鬼がこちらを見た。その眼に映るは、中空に浮かぶ亀頭であった。