千円の漢字の話

小学校三年か四年の頃だと思う。とにかく『帯』という漢字を習った後の話である。夏休みだったか休日だったか、なぜかその日は朝食後に居間で勉強をしていた。その勉強の様子をを親父が横で見ていた。国語か社会か忘れたがとにかく問題の答えに『帯』という漢字が出てきた。俺は『帯』と書いた。だが親父は「それはちがう」俺「どこが?」親父「『帯』の上の部分は『世』だ」と言って書く親父。世。俺「ちがうよ『山に一』だ」と言って書く俺。山一。親父「じゃあ違ってたら千円やる」この様子を台所で見ていた母親「よし、調べてみよう」辞書、帯。ヤマイチ!母親「約束だ」こうして小学校の俺は親父の四十年来の間違いを訂正し千円ゲット。金と約束には厳しい世帯。