2010-05-24から1日間の記事一覧

名文紀行50

ああ、あの夏はなんと楽しかったこと!波打ち際で酒盛りしたり、酔いどれ藻をかっくらいながら酒場をハシゴしたり、潮だまりで水浴びしたり。海底を這いまわったり。ほかの蟹グループと喧嘩したり。 雌蟹を追いかけたり! ――バリントン・J・ベイリー(訳・中…

名文紀行49

アキレスが亀に、光速とは何かを説明している。光速っていうのは光の速度だ。亀は一つ頷いて、速度っていうのは何かと問う。速度っていうのは、距離を時間で割ったものだ。亀はゆっくり頷いて、距離っていうのは何かと問う。距離っていうのは、物差しを添え…

名文紀行48

●83:箱一杯に集めた銀河帝国の脱け殻を家人に捨てられた恨みは一生忘れない。 ●後藤さんが粒子であるという証拠としては、光後藤さん効果が知られている。後藤さんに光を照射し続けると、新たな後藤さんを発することは実験により確かめられている。ある一定…

名文紀行47

●人間はすべてをまずかたちとして認識する。かたちとはなんだろう――輪郭だ。輪郭とはなんだろう――境界だ。境界とは――事物が接し、せめぎ合う界面。そこには必ずちからが介在する。いままで見すごしていた平凡な部屋の、あらゆる輪郭、明暗、色彩にちからが宿…