折り鶴

名前は忘れたが高校の同級生に折り鶴を作る名人がいた。プリントやノートでいつも折り鶴を折っていた。段ボールを何枚も繋ぎ併せ巨大折り鶴を作り、2-2は文化祭の出し物にした。他のクラスメイトは一切手を貸さず、各自折り鶴を折った。巨大段ボール折り鶴は羽の一部と尻尾、頭部分が体育館に納まりきらなかったので体育館東西南北に一ヶ所ずつ穴を空け一部外にはみ出す形で展示された。クラスメイトが折った普通の折り鶴は色・サイズがばらばらな千羽鶴として展示された。その折り鶴名人がある休み時間「俺の特技を見せてやる」と言い、黒板消しを手に取ると両手に挟みゆっくり圧力を加えていく。すると黒板消しが徐々に薄く平たくなっていき、それを何回か続けるとぺらぺらになった。息をのむ数人の男子。息のむ男子とぺらぺら黒板消し。そしてその薄い黒板消しで折り鶴を折ると、黒板消し折り鶴はぱたぱた羽をはためかせて教室を少し飛び回った後、窓から出て行ってしまった。クラス一同が名人を眺め唖然とする。注目を集め照れ笑いする名人。名人はその日を
最後に学校へ来なくなった。理由は誰に聞いても分からなかった。 今日の朝刊に鶏で折り鶴を作る人が紹介されていた。折り鶴になった鶏は飛ぶという話。