断崖鳥と断崖メロン

断崖鳥は切り立った断崖の側面に卵を産む。だが卵は落下しない。これは断崖重力による。断崖重力を感知し影響を受けるのは断崖鳥のみである。そのため断崖鳥は断崖側面に垂直に脚を降ろし、そのままの姿勢でじっとしている。水平線を左右に眺める格好だ。そんな断崖鳥は繁殖期になると南国のとある島へ渡る。飛び立って数秒は断崖重力の影響により横倒しのまま飛行する。断崖重力外に出ると普通に飛行する。南国の島で鳥は雄雌区別なく交わる。交わりまくる。繁殖の鬼となり飲まず食わずぶっ続けで繁殖行為をしまくるが、皮肉にも繁殖行為により95%もの断崖鳥が命を落とす。そしてなんとか生還した断崖鳥は断崖に産卵するのであるが、この際、南国の島にのみに見られる断崖メロンの菌(種ではない)を持ち帰り、断崖に菌が付着し発芽する。断崖メロンは断崖によってのみ発芽する。メロンは急速に育成し一週間程で成長を止め果実が実る。果実はさらに急速に成長し、受粉からわずか六時間で半径20センチ程の巨大さとなるが、断崖メロンは断崖重
力の影響を受けない為、自らの重みで根っこもろとも落下するので収穫数が極めて少なく、幻のメロンと名高い。  そんな理由もあってメロン宅には断崖がたくさんあった、という補足の話。