ばか犬3

ばか犬は時間を認識している。しかし認識がズレている。どうも時間と速度をごちゃ混ぜに考えているフシがある。馬鹿なりに考え実践しているがズレている。ばか犬は常に動き回って現在にいる。睡眠を認識していないのでもちろん眠らない。ばか犬は休憩すると過去に取り残されてしまい、走り過ぎるとずっと未来まで行ってしまう。一定速度で流れる時間に馴れた私達の感覚からするとばか犬が消えたように見える。実際消える。ばか犬に向けて骨を投げると骨を追って走り少し未来で骨をキャッチしてさらに走って、戻って来ない。ばか犬自身は未来にいる事を認識できずうろうろ歩き回る。延々歩いてから骨を埋める。ばか犬にとって骨は埋める為にある。埋めてからじっと待っている「埋められ待たれることが骨にとっては最上の喜び」と少し狂ったばか犬は思っている。たぶん。待っている間に時間が現在を通り過ぎ過去になってもばか犬は延々待ち続け、見かねた過去の私が新しい骨を投げてやる。その骨を追ってくわえて走り続け現在に戻って来る。ちなみこの骨は遠い未来から
拾って来たばか犬自身の骨だ。