バナナとコアラの20億年戦争

スプーンを使ってバナナを食うと文明人になった気がする。コアラはスプーンを使わない。バナナは儀式の際にスプーンを使うが、ここ数億年儀式は行われていない。バナナには強靱な筋肉とわずかな知性があるが、血も涙もない。コアラには慈悲と権力があるが、知性は全くない。コアラがバナナを引き裂く際、悲しい顔をしています。殺されるバナナは知性を振り絞り、現状に身を任せます。バナナはコアラを絞め殺す際、己の筋力に陶酔しています。殺されるコアラは相変わらず悲しい顔です。時に、涙さえうかべます。コアラの権力にバナナは嫉妬しています。バナナは筋肉を痙攣させ、嫉妬をコアラに伝えようとしますが、どうしてもうまくいきません。いっぽうコアラの悲しみを、バナナは不思議な気持ちでながめています。相互理解をスプーンで深めるには、まだまだ時間がかかります。