なんもねーところから生まれ姫

「お前も今年で16歳。よってうちあけるが、お前はなんもねーところから生まれた」「父上!いったいどういうことです!」「知らん!お前はなんもねーところから生まれた。なんもねーところからだ。なんもねー、ほんとなんもねーところから生まれた。生まれたというより出現した。なんもねー、ほんとなんもねーところから、だ」「そんな父上!なんもねーところからだなんて、ありえませぬ!統計学的にありえませぬ!」父上「知らん。とにかくなんもねーところから生まれた。空中からぽっかりと出現した。なんもねー空中から、だ。統計学も知らん」姫「そんな父上!統計学は素晴らしい学問です!なんもねー空中からだなんて!では母上はどうなったのです!我が幼少の時に亡くなったと聞く母上は!」父上「知らん。ほんと知らん。最初からいなかった。最初からいない。なんもねー空中にから生まれた。車庫の」姫「たはっ!車庫!車庫か!そりゃあいいや!それで納得がいく!統計学的にも稀有な例ではあるがゼロではない!非常に稀だがゼロではない!」父上「知らん
。実際なんもねーところから生まれたんだ。それでも俺ぁおまえを実の娘として育てた。男手ひとつで到らねぇところも多々あったろうし辛く当たった時もあった。苦労もさせたし寂しいおもいもさせたと思う、だが俺ぁ、俺ぁなそんな…」姫「もういいわ父上(クスン)。確かに統計学的に苦労も寂しい思いもしたわ、けれど、けれど…」 話は途中だが、もうアイデアがなんもねー上に統計学的に見てもだいたいいつもこんぐらいで終わるから、終わる。
[原題:思い付きと許されざる妥協]