スーパー桂馬続き

[執筆:悶々門]
ヒロシは疑似〜が嫌いだ。
それは単なる想像であって、どんな楽しい疑似体験も、何も残らない、むなしいオナニープレイでしかないからだ。
ヒロシは生身のセックスを味わったことがない。ヒロシはとうとう三十路を迎えようとしている。
イマジネーションの世界にドップリつかって他人に目もくれず疑似新婚夫婦を演じた桂馬女はヒロシにとって、見ないように覆い隠していた自らの否定する部分、そのものであった。そして、その女もまた、独り身という点においてヒロシと同じ穴のムジナであった。
それを知ってかヒロシは不思議な親近感を女に抱くようになった。

気がつくと、女の家にまでつけて行っている自分がいた。女は相も変わらず新婚夫婦を演じている。階段をのぼり、女が安アパートのドアノブに手を伸ばし、鍵を開けると、そこにはコ【実名禁止】ヒロシ(童貞)がいた!悲鳴をあげる間もなく口を塞ぐヒロシ。生臭さい狭い入口を転ぶようにして倒れ込み、台所で不器用に服を脱がす、そしておもむろにいきりたったナニを露出。不細工に歪む女の顔がその目前に迫る。


‥そんな想像をしながらヒロシは今日も一人ヌくのだ。今夜のオカズは、スーパーで買ってきた肉なんかじゃない、あの女だ。
嫌いな疑似セックスで自分を慰めるヒロシ。最後には普段より多めのザーメンが排出され、それと共に、言いようもない虚無感だけが残った。

―END―