頭痛/もぐら

頭が痛え。頭が痛えああ頭が痛え。朝起きたらものすごい頭痛。そして体を起こした途端に鼻血が出た。思いっきり鼻をかんだら何か血に混じっている。でかい鼻クソかと思ったが違う、ティッシュが重い。よく見るともぐらだった。ちっちゃいもぐらだ。まだ頭痛は治まらないがきっと原因はこいつだ。モグ公め!ぴくぴく鼻先を動かしているのでまだ生きている。なぶり殺しにしてやろうと思い、とりあえず空のウイスキー瓶にモグ公を入れた。さてどう虐殺したものかと思案しつつタバコに火をつける。鼻血は止まらず頭痛は相変わらず頭痛。モグ公は瓶の中でじっとしている。「ナア、頼ミガアルンダガ」と彼、つまりもぐらが言った。(「お、おまえ、く、口がきけるのか!?」的なくだりはなし)「なんだい?」と俺。「中身ノ残ッタ瓶ニ替エテクレンカネ」「よし分かった」素直に従う俺。さっそく新品のボトルをあけるとモグ公をそっちに入れてやる。「さんく!ウッヒャア!タマラネェ!」ウイスキーの中ではしゃぎ泳ぐもぐら。その様子をじっと見てたらなんだ
か嬉しくなってきてビールが飲みたくなり、飲んだ。飲んでるうちに頭痛が治まってきた気がしたので続けざまにビールを3缶飲んだところで、寝た。
起きるとまた頭痛。ああ頭。また鼻血が出てきた。うっ!もぐらを入れたウイスキーが減っている!もう1/3ぐらいしか残ってねえ!「君が飲んだのかい?」「無論ダ」と彼。少しして「ナア、頼ミガアルンダガ」「なんだい?」「少シ、水デ割ッテクレナイカ」素直に従う俺。ウイスキー瓶に直接、水を入れる。「…ア、ソングライデ。さんく。ヤッパすとれーと効クワァ」私は鼻をかみながら頷く。「アー、ヤッパすとれーと効クワァ…」ティッシュを覗くとまた血に混じってもぐらが一匹いる。「ヤー、ナンカ頭イタイ」ああ頭痛え。頭。俺は黙って丸めたティッシュを屑かごに捨てた。