名文紀行21

●真白な壁にけさの新聞をこすりつければ簡単に君の肖像が描ける。かすれたインクの染み……これが君の全てだ。
●面白半分……こいつは悪魔だ。
●美しい日本のゾンビたちの礼儀正しい社交が日本文化ってやつなのかも知れない。
――君は何に対してハンストをしているというのだね。
――これから考えます。
●あの世で最初に誰と会うか考えた。読書に疲れて、ラジオをつけたら、「きょうも人生を美しく磨きましたか?」と爽やかな女性の声でたずねられた。こういう女性が黄泉の入口の受付にいたらいいのに。
――島田雅彦アルマジロ王』より