名文紀行39

●「氷結車が氷なことに目づまりしやがったんだ/めぐまれた冷血野郎どもは別にして。おれたちは木材燃焼式にトラックを改造した――おかげでボイラーの下で凍るほど盛大に火を燃やさにゃならんから、薪を放りこみつづけるのを忘れちゃいけない。おれたちはな、忘れたりはしなかったよ。どじったのは缶詰工場だ。チューブ掃除の刷毛をおれたちによこすのを忘れやがった――このチューブってのが細長くて、それが氷結煤でつまって、氷結トラックは動きやしねえ」
「あのさ、きたない言葉を使いすぎだとおもうよ」
「お上品な氷結お坊っちゃまでいらっしゃいましたか」
●「喉越しで判断できるわ」ブラウンアイズは物知り顔でいった。
●「なんでわかったって、そんなとこが、なのさ」リボンはぼくの口真似をすると、声を上げて笑った。
――マイクル・コーニイ(訳・山岸真)『ハローサマー、グッドバイ』より